1990そこには手付かずの広大な自然があった

1990そこには手付かずの広大な自然があった

カプコンを創業し、アミューズメント産業で成功を収めた辻本憲三が、ユーザーがインドアの遊びに偏らないようにという思いから、アウトドア志向の事業展開を模索して購入した、馬術場を有するワイルドホース・ヴァレーの大地。470万坪の広大な土地には、ロス五輪の公式練習場にもなった馬術場のほかには、手つかずの自然がそのまま残されているだけであった。やがて、その恵まれた環境に目を付けた周辺のワイナリーから「葡萄栽培のために水を使わせて欲しい」、「ここに葡萄畑を作らせて欲しい」といった依頼が舞い込むようになり、辻本憲三は、この地が葡萄栽培に理想的な土地であることを知るに至る。既にナパワインに親しんでいた辻本憲三は、ナパでできる素晴らしいワインをもっと日本でも愉しめる状況を作りたい、という思いから、自らワイン事業に乗り出すことを決意。上質なワインづくりへと一途に情熱を傾けていくことになる。

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1998山上の森を切り拓き葡萄畑をつくり始める

1998山上の森を切り拓き葡萄畑をつくり始める

アミューズメント産業からワイン産業へ。異業種の事業へ乗り出すことを決意した辻本憲三は、ナパワインの雄ロバート・モンダヴィをはじめ、様々な地元ワイナリーと交流を深めながら、ワインづくりの知恵を学び、将来に向けたビジョンを描いていった。そして、470万坪の広大な敷地から、葡萄栽培に最適な場所を探し当てる作業が始まった。入念な調査の末選定されたのが、清らかな水を湛えるレオマレイクという美しい湖に程近い、陽当りの良い、12万坪の緩やかな丘陵地であった。1998年、大規模な掘削工事が施され、1年余りをかけて、葡萄栽培に相応しい地盤へと整えられ、1999年には、この土地に適したカベルネ・ソーヴィニヨンをはじめとしたボルドー品種の葡萄の苗が植えられることとなる。辻本憲三のワインづくりへの挑戦がここに始まった。

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2001初収穫、そして運命を変える男との出会い

2001初収穫、そして運命を変える男との出会い

開墾から3年、初めての葡萄が収穫されたのは2001年のこと。しかし、その葡萄がケンゾー エステイトのワインになり、世に送り出されることはなかった。この年、辻本憲三は運命を変える一人の男と出会う。『コルギン』『ハーラン・エステイト』といった数多のカルトワインの葡萄栽培を手がけてきた天才的栽培家デイヴィッド・アブリュー、その人である。初収穫を迎えたケンゾー エステイトを訪れたデイヴィッド・アブリューは、そのテロワールが秘めた計り知れない可能性を感じ取ると同時に、畑のつくりが完璧からは程遠いことを看破した。そのクリエイターとしての感性に惹かれ、ケンゾー エステイトの栽培家としてチームに加わることを打診した辻本憲三に、デイヴィッド・アブリューは一つの条件を出した。それは「すべての樹を引き抜き、畑をゼロから作り直すこと」。葡萄栽培の完璧主義者が突き付けた無謀とも破天荒とも言える条件。しかし、ここがまさにワインづくりの頂点を目指すか否かの分水嶺となる。

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2002世界一のワインを目指し、ゼロからの再出発

2002世界一のワインを目指し、ゼロからの再出発

凡庸なワインか、世界最高峰のワインか。「ワインもゲームと同じで、生きるために不可欠なものではない。だからこそ、一番いいものを作らないと見向きされなくなる。」そう考えていた辻本憲三にとって、どちらの道に進むかは自明のことであった。そして、デイヴィッド・アブリューの条件を受け入れ、すべての畑をゼロからつくり直すことを決断。ここに不世出の栽培家との絆が芽生えたのだ。2002年、デイヴィッド・アブリューの指揮の下、新たな畑づくりが始まる。苗木が根を伸ばすのに邪魔になる石は、小さなものに至るまで徹底的に取り除き、丁寧に土を均していく。そして緻密な計算のうえ、真っ直ぐ等間隔に杭が立てられ、ワイヤーが張り巡らされていく。そして、畑を細かく区分けし、それぞれの場所に最適な葡萄品種が厳選され、苗木が植えられていった。上質な果実を実らせるべく生まれ変わった葡萄畑。その決断はまた、ケンゾー エステイトが世界一のワインづくりを目指していくことを意味していた。

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2003エレガンスを極めるワインの女神降臨

2003エレガンスを極めるワインの女神降臨

栽培家デイヴィッド・アブリューがチームに加わってから一年後、ケンゾー エステイトはもう一人のキーパーソンを迎えることになる。ワインの女神と称される醸造家ハイディ・バレット。辻本憲三が一人のワイン愛好家として、自身の足で探し回った1本のワイン『マヤ』。辻本憲三をワインづくりへと駆り立てるきっかけにもなったこのカルトワインに記されていたその名がまさにハイディ・バレットであった。一方ハイディ・バレットにとっても、幼少の頃乗馬に親しんできたワイルドホース・ヴァレーは、思い出の土地。そうして運命の糸で手繰り寄せられたかのように、ワインづくりへの情熱を共にするチームがケンゾー エステイトに集ったのだ。恵まれたテロワール、デイヴィッド・アブリューにより美しく整った葡萄畑、そこにワインのエレガンスを極めるハイディ・バレットが加わり、世界一のワインづくりに不可欠な条件が揃ったのである。

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2005ケンゾー エステイト初収穫

2005ケンゾー エステイト初収穫

最高のワインづくりに近道はない。技術や設備なら最新のものをすぐにでも導入できるだろう。しかし、原料たる上質な葡萄は一朝一夕で得られるものではない。苗木を植えて収穫できるようになるまで3年。さらに、より上質な果実を実らせるためには、日々の地道な農作業こそが要となる。自然と向き合いながら一歩一歩着実に歩んでいくしか道はない。2005年、ケンゾー エステイト初収穫。果たしてそこで収穫されたのは、若い葡萄樹ながら複雑な味わいと、プレミアムワインを生むに足る濃密さを合わせ持った、驚くべき品質の葡萄だった。それは、ケンゾー エステイトが15年かけて歩み続けた道の正しさが証明された瞬間でもあった。しかしそれも、あくまでスタートラインに立ったにすぎない。収穫された葡萄は、醸造、オーク樽での20ヶ月の樽熟成、約1年の瓶熟成を経て、ようやく世に問われることとなる。

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2008初リリース、世に放たれし芳醇な雫

2008初リリース、世に放たれし芳醇な雫

2008年、東京の帝国ホテルでファーストヴィンテージのリリースパーティーが催された。『紫鈴 rindo』、『紫 murasaki』、『藍 ai』の2005年。どこまでも芳醇で深みがあり、それでいてケンゾー エステイトの豊かな自然環境を彷彿させるピュアな味わいは、会場に集ったゲストに驚きを持って迎えられることとなった。そして、発売開始間もなくこのファーストヴィンテージは完売となる。翌年の2009年には、ケンゾー エステイト唯一の白ワインにして、ハイディ・バレットが手がける初めてのソーヴィニヨン・ブラン『あさつゆ asatsuyu』のファーストヴィンテージ 2007年もリリースされた。ソーヴィニヨン・ブランの常識を覆す華やかさと芳醇さは、熱狂的なあさつゆ asatsuyuファンを作り、毎年リリースと同時に完売するほどの人気を誇っている。

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2009 ワイナリー施設が完成し、「エステイト ボトル」に

2009 ワイナリー施設が完成し、「エステイト ボトル」に

ケンゾー エステイトの品質を更なる次元に高めた節目がこの2009年である。それまでケンゾー エステイトには醸造所とケイブがなかったため、収穫した葡萄はワイナリーの外に運び出し、醸造・熟成を他者の手に委ねる必要があった。しかしこの年ようやく念願の醸造所とケイブが完成した。葡萄畑が広がるエリアの中心に建てられた醸造所では、収穫された葡萄が最短距離で運びこまれ、果実が痛む前に醸造工程に入ることができる。醸造所のすぐ裏手の小高い丘を掘削してつくられたケイブには、熟成中のワインで満たされたオーク樽が整然と並び、熟練のスタッフが樽で眠るワインの状態を常時チェックできる体制が整ったのだ。これによりケンゾー エステイトは葡萄栽培から醸造、樽熟成、瓶熟成に至るまでの、ワインづくりの全工程をワイナリー内で行えるようになり、晴れて100%自社製造の優良ワイン「エステイトボトル」を名乗ることができるようになったのだ。

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2010テイスティング棟が完成しグランドオープンを迎える

2010テイスティング棟が完成しグランドオープンを迎える

2010年夏、ワイナリーを訪れる人々の玄関口となるテイスティング棟が完成し、ゲストをもてなす体制が整い、ワイナリーでのテイスティングやワイナリーツアーを開催できるようになった。葡萄畑、醸造所、ケイブに加え、テイスティング棟が完成したことにより、ワイナリーとして必要な施設がすべて揃ったケンゾー エステイトは、2010年7月1日、晴れてグランドオープンの日を迎えることとなる。さらに同年同日、日本では現地ワイナリーのテイスティングルームを再現した直営店を東京・広尾にオープンさせた。ナパまで足を運べないゲストでも、日本にいながらワイナリーのテイスティングを愉しめるようにしたい、という辻本憲三の思いからである。最高のワインができたら、次はいかにそれを多くの人々に届けるかに心を砕く。日米でケンゾー エステイトのプレミアムワインを愉しめる場が完成したこの年は、「最高のワインを一人でも多くの人に愉しんで頂く」という理念を実現するための大きな一歩となった。

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