ナパ・ヴァレーにあるケンゾー エステイトのワイナリーより近況が届きました。ケンゾー エステイトのワインが作られる葡萄畑、ワイナリーの雰囲気を少しでも感じていただけたら幸いです。
【畑の風景①】一面に広がる若葉の新緑
4月に芽吹き、およそ1ヶ月の間成長を続けた葡萄樹には、小さな花がびっしりとついた房がなりました。この花の一つひとつが葡萄の実に成長するのですが、その発育段階では、霜と風に注意が必要です。今年も日によっては霜が降り、大きなファンを回して冷たい空気を循環させたり、ヒーターを使用して畑の温度を上げたりするなど、若い枝の凍霜を防ぐために様々な対策を講じることもありました。
そして無事に開花期を迎えたケンゾー エステイトの葡萄畑。この時期の葡萄樹はまだ背が低く、小さいものの、若葉の新緑が美しく、なだらかな斜面に広がる一面の畑を爽やかな黄緑色に染め上げます。
5月の畑の風景。ケンゾー エステイトの畑は、風の通りが良く、日の当たる緩やかな斜面にあります。
【畑の風景②】小さな葡萄の花が実へと成長
葡萄の花を守るためのヴィンヤードチームの努力のおかげで、小さな花が無事に薄緑の実に成長しています。多様性に富むケンゾー エステイトの自然は、同じ敷地内でも区画によって異なる気候・環境状態を生み(マイクロ・クライメイト/微気候)、葡萄の生育に微妙な差を作り出します。比較的温暖な気候を持つウッデン・ヴァレー区画では、葡萄の生育が早く、5月末時点ですでに100%の葡萄の花が無事に結実を始めました。残りの区画でも65%~70%の花が結実を始めています。葡萄は、秋の豊かな実りへの準備を着々と進めています。
葡萄畑では、ヴィンヤードチームが葡萄の枝を整え、ワイヤーに枝をクリップで留める作業をしています。これにより、葡萄木の風通しを良くし、葡萄を健康に保つことができるのです。
花から実へ着々と成長しています。
【ワイナリー】ラッキング(澱引き)の3つの目的
5月のワイナリーでは、ラッキング(澱引き)で忙しい日々を送りました。澱引きには3つの目的があり、これについて、ワインメーカーのマーク・ネインズに聞きました。
1つは、樽から澱や沈殿物を避けてワインを汲み上げ、タンクに移して、樽をきれいにするためです。汲み上げたワインは再び樽に戻し、熟成を重ねていきます。この作業は、自然の濾過を助けます。2つめの目的は均質化。樽からワインを汲み上げてロットごとに1つの大きなタンクに移すのですが、これにより樽ごとに熟成の進度・状態が微妙に異なるワインを、複数の樽を混ぜることによって、均質にした状態で樽に戻すわけです。3つめは、特に若く熟成の進んでいないワインに「息をさせる(Breeth)」ためなのです。
ちなみに、ケンゾー エステイトでは、ラッキング(澱引き)だけでなく、瓶詰の前にも濾過を行い、ワインから不純物を完全に取り除いています。ナパ・ヴァレーの他のワイナリーではほとんど見ることのないこの濾過工程を、あえて加え、ひと手間かける努力が、ケンゾー エステイトのワインを優れた品質のワインに仕上げているひとつのカギになっているとも言えるでしょう。
ラッキング(澱引き)作業。ケンゾー エステイトのワインメーキングチームには、日本人スタッフ(黒田さん)もいます。
コロナの規制が緩和されてきたこともあって、ケンゾー エステイトのテイスティングルームでは、徐々に日本からのお客様も増え始めました。ワイナリーツアーも連日大盛況で、コロナ以前の賑わいと活気が戻ってきています。
ワイナリーツアーについて詳しくは、こちらのページでご覧いただけます。