豊潤さが増し、素晴らしいヴィンテージへの期待が高まる
9月25日午前1時30分、ケンゾー エステイトで2023年の葡萄の収穫が始まりました。初夏に涼しい日が続いたため収穫開始は例年より1か月ほど遅れましたが、そのぶん時間をかけてじっくりと成長した葡萄は豊潤さを増し、類稀で秀逸なヴィンテージになるのではとの期待が高まっています。
今年最初の収穫となった品種は、白葡萄のソーヴィニヨン・ブラン。昼の暑さで葡萄が痛まないよう真夜中から早朝にかけて行われる収穫では、葡萄畑が大きな照明に照らし出され、この時期ならではの陰影のある風景を葡萄畑に作っていきます。
翌日からは黒葡萄の収穫も始まりました。今年最初に収穫されたのは、ケンゾー エステイトの敷地内で最も気温が高くなる葡萄畑、ウッデン・バレーのマルベックとメルロです。
メルロは2023年の赤ワインに、マルベックはロゼワイン「結 yui」、そしてロゼ・スパークリングワイン「寿々 suzu」になっていきます。ケンゾー エステイトで採用しているのは、ロゼの一般的な製法として知られる「セニエ法」ではなく、「直接圧搾法」。赤ワインの副産物としてロゼを作るのではなく、ロゼ専用の葡萄畑で、ロゼに適した作り方で栽培されたメルロやマルベックを、白ワインと同様にプレスし、その果汁を発酵させ、熟成の工程を経てロゼワインを作り上げていくのです。
収穫をはじめ、ワイン作りを分析で支えるラボ
ワイン作りの仕事は葡萄畑やセラーだけで行われるわけではありません。収穫の時に活躍するのが、ワイナリーに備えられたラボ。実験室のように試験管が並んだラボで、毎日、葡萄畑の各ブロックから運ばれる葡萄の糖度を測ります。ワインメーカーは各ブロックの糖度の推移を毎日注意深くチェックし、ちょうど適切な糖度に達した日、収穫の判断が下されるのです。
このラボでは糖度だけでなく、葡萄ジュースあるいはワインの様々な成分も分析されます。今年の収穫は遅れましたが、涼しい夏のおかげで、葡萄ジュース内の成分は安定し、大変にバランスがよい、とのこと。2023年のワインの仕上がりに、さらに期待が高まります。
収穫の始まりとともに、ワイナリーは秋の気配に包まれます。10月に入り、敷地内の野菜畑でとれたパンプキンが、ハロウィンのデコレーション用にテイスティングルームに運ばれました。忙しくにぎやかな収穫シーズン、今年は11月末まで続きそうです。
今回収穫された葡萄のワインがリリースされるのは来年以降ですが、2022年ヴィンテージの「あさつゆ」「結」、そして2020年ヴィンテージの「清」「寿々」は好評発売中です。ぜひお愉しみください。
ワイナリーツアーの内容やご予約など、詳しくは下記よりご覧いただけます。